2016/12/05

速水御舟の旅をめぐって

 無理をしてまで展覧会を開く必要はないと思ふ。今の世は内容より以上のものを人に見せつけようとする争の巷(ちまた)のやうに見える。(速水御舟「絵画の真生命」)

 昨日まで山種美術館で開催されていた「速水御舟の全貌」はすごく面白かった。先週のアトリエには速水御舟の文章を集めた『絵画の真生命』を図書館で借りて持って行き、授業後にみんなで読んだ(授業中にはセンター試験直前対策をやっている)。御舟は40歳のときに急死して筆を置いているんだけど、その死に様にも触れた追悼文になぜか皆、笑いが止まらなくなり(だって愛のある可笑しみに溢れていて)、死の5年前にヨーロッパ放浪というような旅を半年以上もしている年譜を見ながら(ほとばしる好奇心と体力!)、買ってきたポストカード(まるでセザンヌのようなカッコいいスケッチ──今回展示はされていなかったのだけれど)に書かれている「ベルラヂオ」という地名を探したり、その行程が何なのかみんなで話したりした。

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