2015/03/26

道草の家の守り神

 当人が満足なら、いいことだ。(ドラえもん)

 春が、一歩、一歩、進んでいるのが、この道草の家にいると、よくわかる。3年前、ここに引っ越してくるまで、忘れていた感触かな。土と、草と木との暮らし。ぼくら夫婦は根が都会っ子で、あたふたすることも多いのだけれど。でも、ここでの暮らしは、ほんとうに好きだ。
 この家に引っ越して来た日の夜は、ふたりで近所に焼き肉を食べに出かけ、帰って来て眠るだけだった。布団に入り、明かりを消すと、外は風が強くて、ときおり物音がして、家中に生き物たちの音が響いているようで、少し不気味だった。「あのときは、まだ何か住んでるのがいたんだよ」と妻は言う。でも、この家が、新しい住人に気を許すまで、そう長い時間はかからなかった。

0 件のコメント:

コメントを投稿