私達は陰で小川感心居士などといってゐた。小川君はよく物に感心する方で、時には一緒について行けない事もあり、こんな仇名をつけたりしたが、小川君が感心居士である事も小川君の仕事を完成さす上に実は大きな役目をしてゐるのだと私は思う。(志賀直哉)
授業で「奈良登大路町」をとり上げるので読み返していたら、いろいろ気になってきて、作者・島村利正のことを調べてる。ついでに、その小説にも出てくる飛鳥園の小川晴暘さんのことを書いた「伝記的」な小説『奈良飛鳥園』をインターネットの「密林」で220円で見つけ、取り寄せたらすぐに届いて、読みはじめたら止まらなくなった。
ぼくは仏教美術にも古美術写真にもあまり縁がないけど奈良には多少の想いがあり、“文学少年”だった島村利正の小説によって21世紀になってから(小川晴暘という人の存在を)知った。ぼくは島村の「人」に注がれる眼差しに打たれる。──つよく励まされる。(「打たれる」ということば、好きですね。)
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