──自分はね、すぐにでも国の役にたつ人間をこしらえたい、という声をいく度も聞きました。なんて言い草だ。こういうことを言う者は、国を喰いものにしているんです。(小川国夫『弱い神』より)
8月15日、終戦記念日と呼ばれている日。だが、今日、たまたま読ませてもらったある方の話によると、戦地へ行って戻られたその方のお父さまは「敗戦記念日となぜ言わない?」と言われていたとのこと。「敗戦」を認めたくなかった政治家や知識人の流れがあるのかもしれないね。ぼくも10年ほど前に(もう亡くなられてしまった)ある方から「軍国主義の大合唱は大嫌いだったが、民主主義の大合唱も同じくらい嫌だった」という話を聞いたことを昨今の政治状況を見ていてよく思い出す。ぼくの師匠・小川国夫さんも10代で体験した日本国内の「戦争」を亡くなるまで書きつづけた作家だった。晩年の大作『弱い神』には、静岡の田舎にやってきた「戦争」が生々しく描かれていて、いまも生きよう生きようとしている。
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