僕はいつだって現実を直視することはできなかった。意識して今の状況から目を背けようとする行為は、不安が過ぎ去ったあとから生まれてくるもので、不安に支配されている時やどもっている時には、無意識のうちにマイナスの感情が身体を支配し、何をすることもできない状態になった。(鈴木永弘「春の夕暮れ」〜『アフリカ』最新号より)
今回の『アフリカ』にはまた、吃音の(どもる)少年の話も載ってる。出産の瞬間から、成長していく過程で、人の口から音が出て、「話す」ということがどういうことなのか。口からものを入れたり出したりすること。こどもが「外」の世界へ出て行くということがどういうことなのか。そこに発生する「不安」とか「恐怖」の感触。いろんなことが、中学三年の春を迎えた彼によって語られてる。ぼくもいろんなことを考えていたし、考えてる。自分のなかの吃音にも、いろんな時期があり、いつでも呼び出せる気がしている。
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