2016/01/30

シャルフベック・メモ

 あなたは、私がなんでも簡略化してしまう傾向があると言いましたね──私もはっきりと言えないのですが、確かにものを見るときに細部やあちらこちらの小さな黒い点が目に入らないのです。(ヘレン・シャルフベック)

 ヘレン・シャルフベック、珍しく(?)図録を買ってきてくり返し見てる。「細部」が目に入らないようなことを言っているが、彼女は「写実」の名手で、若い日には古典絵画の模写の仕事もある。それがやがて自作では「単純化」のほうに向かう、ということ。その「単純化」の方法が面白い。途中からは人物画ばっかりになる。いいモデルがいる、ということが彼女の創作のモチベーションだったらしい。人物画と自画像の間を行き来している。同時代の画家の作品、雑誌や本などからもすぐに影響を受ける。やわらかい。晩年には親しい画商からの提案を面白がって、過去の自作の「再解釈」(セルフ・カバー?)をやっているのがとても面白い。そうなると、同時期に描いているエル・グレコの模写なんかも、自作(「再解釈」)になる。

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