渡りは、一つ一つの個性が目の前に広がる景色と関わりながら自分の進路を切り拓いていく、旅の物語の集合体である。その環境が自分の以前見知っていたものと違っていたとしても、飲むべき水も憩う森も草原もなくなっていたとしても、次にとるべき行動は(引き返すという選択も含めて)最善の方向を目指すため、今出来ることを(とにかく何らかの手段でエネルギー補給をする、等)ただ実行してゆくことだけで、鳥に嘆いている暇などない。(梨木香歩『渡りの足跡』)
この数年、梨木香歩『水辺にて』が大好きで、くり返し読んでいる。そのあと梨木さんは「鳥たち」の話を書いていた。文庫で入手可能と知ってさっそく買ってきて読んでいる(梨木香歩の「小説」や「物語」はまだ一作も読んだことがない、この二冊も「エッセイ」と言ってよいか、とはいえ、そんなジャンルわけはどうでもいい)。鳥たちからも、いろんなことを教わっている。
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