2015/01/14

珈琲ミルの音

 マスコミから遮断された世界で、ことばの飢餓感のなかにしばらく暮らしてみると、「ことば」が電波や活字になって、めちゃめちゃに飛び交っている日本の生活が、水の底から空中の喧噪を見上げるような気持ちで思い出される。「ことば」への不信感、というより、「ことばへの過信」への愛想尽かしが、少しずつぼくのなかにひろがってくるのを、ぼくはどうしようもない。(川田順造)

 ここでは書き忘れていたのだけれど、光海が好きなモノのひとつに、珈琲ミルがある。彼は毎朝、ぼくがこのミルで珈琲豆を挽く音を聴き、ぐるぐる回すのを見て、パッと目を輝かせ、ぼくにもやらせて、と必死で見つめる。珈琲焙煎舎と出会ったばかりのころ、ぼくがまだあの店の裏に住んでいたときに誕生日プレゼントでもらったミルだ。あれから、もう3年がたつんだな。

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