2017/02/27

対照的な姿勢〜横浜美術館と篠山紀信

 今月は横浜美術館が「写真美術館」と化していた。特別展の篠山紀信が表面で、裏面は横浜美術館の写真コレクション展、裏面の充実ぶりは、「主に有名人を撮った写真をばかでかく見せる」という1アイデアに固執したような表面を軽く凌駕していた。1アイデアだけで押し切る、というアイデアで(おそらく)つくられたものが、すごく良かったという記憶はぼくにはあまりない。ただ、「篠山紀信」というブランドを横に、手持ちの駒で何が出来るか、というので横浜美術館のキュレーターは燃えたかもしれない。写真による「昭和史」であれ、「都市」であれ、「前衛」であれ、それをどう見せるかという工夫には出し惜しみがないように見える、そのアイデアを「篠山紀信」で(も)やることはじゅうぶんに可能だと思ったが、巡回展である「篠山紀信」はそんなことをせず「ただ見てくれたらいい」という姿勢を崩そうとしない。それは彼の、広告写真家としての願望なのかもしれないが…

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