彼の絵に在る空間は、閉じられた空間ではなく、そこに描かれている人々が重い空気を押しのけて存在していて、その上に大きな空が広がっているようだ。その空からは陽が差したり、雨が降ったり、星々の囁きが聴こえたりしているのだ。(奈良美智、麻生三郎の絵について)
関東の美術館で好きなのは、ぼくは東京国立近代美術館で、常設展の企画が、あれほど充実している美術館はそうないような気がしている。派手さはないが、展示に創意工夫が満ちていて、あぁ、この美術館で展示を考えている人たちはものすごく美術が好きなんだなぁという気がする。美術館なのだからそんなの当たり前だと言われるかもしれないが、自分が心からそう感じられた美術館は数えるほどしかない。先日行ったときにも注目されているトーマス・ルフ展より(それもよかったが)奈良美智が選ぶコレクション展の小さな部屋が予想以上に良くて、お持ち帰り自由の小冊子もすごくいい。普段使いの本はこんな冊子でいいという気がしている。
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